REGENERATIVE MEDICINE

骨造成とは

「骨造成」なんて聞くと、何か怖い感じがするかもしれません。 しかし、インプラント治療において、骨の存在はなくてはならないものであり、その骨を造る骨造成の技術も必須となります。

植木をするとき、土がないと木が植えられず、倒れてしまうのと同じです。
フィクスチャーは必ず、骨の中に埋まっている必要があります。

ただ、フィクスチャーを入れようとしたとき、いつもそこに骨があるとは限りません。
そこで、必要になってくるのが骨造成という概念です。
フィクスチャーをきちんと骨で覆うため、骨造成を行うのです。

骨があるところに入れるだけではダメです。

インプラント治療を行うときの考え方にトップダウントリートメントという考え方があります。
理想的な上部構造を初めに診断し、それに合った場所にフィクスチャーを入れるのがトップダウントリートメントです。
理想の位置はワイポイントのみです。
そこにフィクスチャーを入れるための骨がある確率は当然下がります。よって、骨造成の必要性が増えます。
それに対して、ある程度骨があるところにフィクスチャーを入れ、そこから上部構造を可及的にいい位置に作るのがボトムアップトリートメントです。
絶対にトップダウンでないといけないということではありません。しかし、長期的な安定を考えたとき、力のバランス、清掃性に優れているのはトップダウントリートメントとなります。

ソケットプリザベーション

インプラント治療を行う際、そこにまだ、抜歯適応の歯が残っている場合と、すでに歯が抜かれて歯がない場合があります。

抜歯適応の歯が残っている場合
歯を抜いてからインプラントを行うことになります。
すでに歯が抜かれて歯がない場合
抜歯後放置してあるときやブリッジや入れ歯からインプラントに移行するときです。
経年的に骨吸収を認めます。

ソケットプリザベーション(Socket Preservation)は抜歯適応の歯が残っている場合に行う骨造成です。
ソケット(Socket)とは歯を抜いた後の抜歯窩を示します。 プリザベーション(Preservation)は保存という意味です。
抜歯適応の歯が残っていて、そこにインプラントを行う場合、当院ではほぼ100%、ソケットプリザベーションを行います。
ソケットプリザベーションを行うことにより、骨吸収を最小限に食い止めることができます。抜歯のときにこの簡易的な骨造成を行うことで、大型の骨造成を回避できるのです。骨造成処置は時間的、経済的、そして、処置に対する痛みを考えても、ないに越したことはありません。また、インプラント上部構造の歯ぐきのラインも他の歯と揃えやすくなります。
インプラントを長持ちさせるには清掃性の良い(歯磨きがしやすい)環境にすることが重要です。抜歯をする前に次の計画を立てて、戦略的に処置を行うことが大切ということです。

ソケットリフト

インプラント治療を行う際、フィクスチャーを入れる骨の高さが足りない場合があります。足りない頻度が最も多いのは、上顎大臼歯部です。
ソケットリフトとはその上顎臼歯部に行う骨造成処置です。ソケットリフトを行うことによって、上顎洞を押し上げて、フィクスチャーを入れる土台を作ります。
上顎洞が大きい場合、ソケットリフトもしくはサイナスリフトを行わないとフィクスチャーが埋入できません。
ソケットリフトによる骨造成は基本的にフィクスチャーの埋入と同時に行います。
骨造成なしでインプラント治療する場合と比べて、手術回数も1回と同じで、治療期間もほとんど変わりません。治療時間が多少延長するだけなので、痛みや腫れもほぼ変わらないようです。 よって、ソケットリフトは非常に侵襲の低い処置といえます。

サイナスリフト

サイナスリフトとはサイナス(Sinus:上顎洞)をリフト(Lift:挙上)する骨造成法です。
広義的にはソケットリフトもサイナスリフトになります。違いはどこから上顎洞にアクセスするかです。
ソケットリフトはインプラント窩から垂直的に上顎洞を挙上します。サイナスリフトは上顎洞に横から穴を開け、人工骨を詰め込みます。
サイナスリフトの利点は1回の処置で、広範囲に大量の骨造成ができることです。広い範囲で上顎洞に骨造成が必要な場合、適応となります。
しかし、ソケットリフトに比べ、侵襲が大きくなる傾向にありますので、一気に大量の骨造成が必要なときだけに留めています。

GBR

GBRとはGuided Bone Regeneration、骨再生誘導法です。
広義ではインプラントのための骨造成は全てGBRです。
しかし、現在では骨造成も多様化したため、サイナスリフトやソケットリフト、ソケットプリザベーションなどに分類されるようになりました。
狭義のGBRは主にメンブレンと言われる人工膜を使って、外向性に骨造成する処置です。
メンブレンには様々な種類があり、次々と改良されたものが開発されています。
非吸収性、吸収性、チタンメッシュ、生体膜や膜を使わない方法なども最近はあります。
ここでは当院で一般的に行うGBRを説明します。

#01
インプラント埋入同時GBR
GBRをインプラント埋入時に同時に行う方法です。 足りない骨がそれほど多くない場合、適応となります。
歯を抜いた部位は経年的に骨が吸収していきます。 特に前歯~小臼歯部が骨の幅が不足することが多いです。CT検査による診断で、GBRが必要か術前に決めておきます。術時にインプラント体のねじ山を覆うように人工骨を充填します。軟組織の進入を防ぐため、骨をそこに留まらせるため、また、形態を保持するために各種メンブレンを利用します。メンブレンを含め、完全に被覆するように縫合します。3~6か月である程度人工骨が自分の骨に置き換わりますので、2次手術に移行します。
#02
ステージアプローチGBR
骨量が大きく不足する場合、骨造成とインプラント埋入を別々に行います。それがステージアプローチです。
特に骨の高さを造成する場合はチタンメッシュや骨ピンを使い、ステージアプローチとなります。ステージアプローチになると治療期間は2倍以上になることもしばしばです。
インプラントの素材や技術が発展して、必ずしもGBRが必要にならないことが増えてきました。GBRを行うと治療侵襲、治療期間、治療費用、いずれも負担が大きくなります。当院ではできるだけ工夫して、シンプルな術式になるよう心がけています。
しかし、どうしてもGBRが必要な症例はあります。そのときでも、常に最小侵襲、最大効果を考えて計画を練り、処置を行っています。

スクリューフォーマー

スクリューフォーマーとは細い骨を中心から押し広げ、インプラント体を入れるスペースを作る方法で、人工骨を使わない低侵襲の処置です。
時間はかかりますが、大きな処置、例えばGBRなどを回避できる可能性が高くなります。
一般的に言われるオステオトームテクニックとほぼ同じスキルです。
骨の状態により、スクリューフォーマーとオステオトームを使い分けて行います。
スクリューフォーマーを行うことによって、周囲骨の骨密度も上がり、インプラント治療に有利な状態を作ります。手間はかかりますが、一石二鳥の処置といえます。

骨造成の費用

インプラント治療をするにおいて、インプラント体を埋入する部位に骨がない場合、骨造成が必要になります。
昭和歯科・矯正歯科では様々な骨造成を行っています。骨造成の費用はインプラント精密検査の結果を持って確定します。
各骨造成にかかる費用を明確に説明していきます。

#01
ソケットプリザベーションSocket Preservation

1歯当たり 39,000円(税込み)

インプラント治療前提で保存不能歯を抜歯する際、抜歯窩に行う処置です。
抜歯窩に人工骨を填入し、コラーゲン膜で覆います。

#02
ソケットリフトSocket Lift

残存骨が4mm以下の場合 1本 89,000円(税込み)
残存骨が5mm以上の場合 1本 59,000円(税込み)

上顎臼歯部にインプラントを埋入する際、上顎洞の関係で骨の厚みが少ないときに行います。
インプラントを埋入するために掘るソケット(Socket:窩)から上顎洞をリフト(Lift:挙上)する骨造成法です。

#03
サイナスリフトSinus Lift

片側 199,000円(税込み)

上顎臼歯部にインプラントを埋入する際、上顎洞の関係で骨の厚みが非常に少ないときに行います。
昭和歯科・矯正歯科では3本以上のインプラントが必要な場合、上顎洞の側壁から骨を填入するサイナスリフトを適応しています。

#04
GBR Guided Bone Regeneration

メンブレン使用時 1部位 99,000円(税込み)
メンブレン未使用時 1部位 39,000円(税込み)

骨の幅、高さが足りない場合に行う骨造成です。
術式は多岐にわたりますが、基本的には人工骨とメンブレン(人工膜)を使用します。

#05
スクリューフォーマーScrew Former

1本 19,000円(税込み)

骨の幅が足りない場合に行う骨造成です。
初めに骨に小さな穴を開けます。
順次、太いスクリューで穴をねじ開ける術式です。

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